家具や複雑なものを作るときには、事前に3DCADでモデリングをしています。
具体的な形状が目に入ると、
- スケール感や雰囲気を確認できる
- 問題点を発見しやすい
- 「こうしたほうが良い」というアイディアが生まれやすい
といったメリットがあるからです。
今まで作ったことがないものを作るときや、失敗したら嫌だなあと思うときなど、特に重宝します。
![](https://mokupoi.com/wp-content/uploads/2023/02/3dcad-introduction-guide00.jpg)
本記事では、無料で使える3DCADソフト「Fusion360」について紹介します。
メリットとデメリット、画面操作の様子、3Dプリンターで出力する場合の流れ、などです。
Fusion360 のメリット
無料で使える
個人利用は無料、商用利用でも条件を満たせば無料で使えます。
個人用は機能制限がありますが、基本機能だけでも十分にあるので、今までに困ったことはありません。
アイディアを検討しやすい
いろいろな方向から眺めたり、寸法のバランスを検討したりできます。
![](https://mokupoi.com/wp-content/uploads/2023/02/3dcad-introduction-guide02b.jpg)
→ 図の完成品はこちらです。
3Dモデル化すると、実際の製作に入る前に何かしら問題点に気づくことが多いです。
紙の図面でも検討はできますが、寸法や比率を正確に書き出すのは大変です。
高機能
本格的なソフトなので機能が豊富です。
ここでは到底紹介しきれませんが、1つだけ例を挙げると、、、
「履歴をさかのぼって、行った操作を修正できる」という機能があります。
例えばですが、家具を下から上へ順にモデリングしていったとします。
できあがったところで「履歴から一番最初に作った底板の寸法を修正すると、その上に乗っているすべての部材にその影響が反映され、寸法や位置が修正される」ということです。
もちろん、底板の寸法と関連付けて配置されている必要はあるのですが、この機能のおかげで1箇所の仕様変更のためにたくさんの修正をする必要がありません。
慣れるほど有効活用できるようになっていきますが、あまり意識しなくても作業量は減るので助かっています。
3Dプリンターで出力できる
モデリングした形状を3Dプリンターで出力できます。造形サイズは機種によって異なります。
(↓)光造形式の「Elegoo Mars」です。導入の初期費用は材料など込みで3万円台です。
![](https://mokupoi.com/wp-content/uploads/2023/02/3dcad-introduction-guide03b.jpg)
(↓)FDM方式の「Bambu Lab P1S」です。10万円台の機種ですが、手順や設定は簡単です。
![](https://mokupoi.com/wp-content/uploads/2024/06/3dcad-introduction-guide13.jpg)
DIY用途では後者のFDM方式のほうがおすすめです。
Fusion360 のデメリット
PC、インターネット環境が必要
モデリングにはPC(パソコン)、保存にはインターネット環境が必要です。
スマホ、iPadのアプリ版もありますが、こちらは表示のみで編集機能はありません。
起動が遅い
起動までに数分かかります。コーヒーを入れたり他のことをして待ちましょう。
また、ネットワークの調子が悪かったり、モデルが複雑になってくると動作が重いことがあります。
できるだけシンプルにモデリングするのが快適に使うコツです。
画面操作
具体的な操作の例です。
(↓)スケッチで平面の図形を作成します。もっと複雑な図形を描くこともできます。
![](https://mokupoi.com/wp-content/uploads/2023/02/3dcad-introduction-guide08e.jpg)
(↓)図形に対し「押し出し」を実行します。
![](https://mokupoi.com/wp-content/uploads/2023/02/3dcad-introduction-guide09d.jpg)
(↓)立体化されます。
![](https://mokupoi.com/wp-content/uploads/2023/02/3dcad-introduction-guide10d.jpg)
(↓)同様に形状を追加したり、コピーしたりして作っていきます。
![](https://mokupoi.com/wp-content/uploads/2023/02/3dcad-introduction-guide11d.jpg)
直線的な家具なら簡単で、部材が増えても操作はほぼ同じです。
![](https://mokupoi.com/wp-content/uploads/2023/02/3dcad-introduction-guide04b.jpg)
3Dプリンターで出力する
モデリングしたデータを選択して「3Dプリント」を実行するとスライサーソフトが開きます。
スライサーソフトというのは、3Dデータを3Dプリンターで使える形式に変換するソフトです。
ここでスケールや向きを調整したり、サポート材を設定できます。
(↓)スライサーソフト「CHITUBOX Basic」(無料、日本語対応)
![](https://mokupoi.com/wp-content/uploads/2023/02/3dcad-introduction-guide12.jpg)
(↓)スライサーソフト「Bambu Studio」(無料、日本語対応)
![](https://mokupoi.com/wp-content/uploads/2024/06/3dcad-introduction-guide14.jpg)
スライサーソフトの設定が終われば造形開始です。
所要時間は造形物の大きさや設定内容によります。
造形完了後、造形物を取り外してサポート材の除去などを行います。光造形式の場合は、さらに洗浄と二次硬化という工程があります。
Fusion360の導入の手順
ダウンロード~起動まで
「ダウンロード(アカウント登録)」→「インストール」→ 「起動・サインイン」の手順で、使い始めることができます。
→ 個人用 Fusion360 のダウンロード(公式サイト)
操作方法はネットで調べることもできますが、体系的に学ぶには書籍のほうが向いています。
入門用では下の書籍がわかりやすいと思いました。1つ1つの操作が図解されていてサクサク読めます。
可動部の動かし方などは手順が少し難しいのですが、わかりやすく解説されています。
おわりに
「Fusion360」は一部の機能を使うだけでも多くのメリットを感じられます。これだけ高機能なソフトが無料というのは驚きです。
また、3Dプリンターも一般向けの高性能な機種が次々に出ています。
新規参入のハードルはどんどん下がっていて、今後もっと身近なものになっていくと思います。
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