アクリル板はプラスチックカッターでも切れますが、厚みがあると切るのが大変になってきます。
本記事は木工でよく使われる手法をベースに、ノコギリで直線カットする方法の紹介です。
※ 2022/10/29「切り終わりでアクリル板の端が欠けるのを防ぐ方法」を改訂しました。
カットには塩ビ・アクリル用のノコギリを使います。
本記事で使用したアクリル板は「アクリサンデーEX板・厚み3mm」です。
5mm厚もカット可能で、それよりも厚みのあるものは未確認ですが極端に分厚くなければ問題ないと思います。
なお記事内では保護紙を全部剥がしていますが、アクリル板は傷つきやすいので要注意です。
ノコギリでカットする
ノコギリ挽きをすると振動でとにかく揺れるので、まずは固定をしっかりする必要があります。
ノコギリ+クランプでカット
アクリル板の上に治具(ここでは定規代わりの端材)をあてて、クランプで固定します。
※ 円形の切り口はコンパスカッターのテストなので、気にしないでください。
治具(端材)は、写真では24mm厚の合板です。直線・直角が出ていて厚みがあるものならOKです。
対象が回転するのを防ぐためにクランプは2本使います。また、締めた拍子に材料がズレやすいので注意します。
側面から手で軽く押さえて、定規にぴったり沿わせながら切っていきます。
最初はノコギリをゆっくり動かして、刃がズレないよう溝をつけてから切り始めます。常に真上から見て、ノコ身を垂直に保ちます。
※ ノコギリは引くときに切れるので、押す力は必要ありません。手前に寝かせ気味の斜めの角度で切っていきます。
力を入れずに、同じ調子で切っていき、、、切り終わりました。
切断面は斜めに刃の跡がつきますが、平面の精度は出ています。
ただし、普通に切っていくと切り終わるところで端が欠けます。(!)
左側の角が欠けてしまいました。右側はこのあとカッターやヤスリで処理すればまっすぐになりますが、左側は使えません。
角を丸く仕上げる場合はこれでもOKですが、、、
この問題の対処については後述します。
ノコギリ+両面テープでカット
クランプがなくても直線カットできる方法です。
固定のための代替手段として両面テープを使います。強力かつ「再剥離可能」なタイプです。
「作業台」「アクリル板」「定規」、それぞれの間を両面テープで固定し、両手でノコギリ作業ができる状態にします。
作業中にグラついたりズレたりしないよう環境を整えます。
※ 両面テープは隅々まで貼ると取りづらくなります。上の写真は貼りすぎたので、はがすのに苦労しました。
ノコギリで切り始めてからの手順は、前項と同様です。
切り終わりでアクリル板の端が欠けるのを防ぐ方法
普通にノコギリでカットすると、必ず最後のところでアクリル板の端が欠けてしまいます。
これはカットし終わる直前に、切り落とす側(右側)の重さを支えられなくなって割れるためです。(たいした重さでない場合も、ノコギリから加わる力や揺れを支えられなくなり割れます。)
手順
以下、欠けを防ぐための手順です。途中までは同様です。
残りがあと少しになると、アクリル板が揺れて不安定になってきます。
落下防止のため下に板を入れて台にします。
台はアクリル板をそっと支える程度で大丈夫です。
ここからは、ノコ刃の角度をほぼ水平にして切っていきます。
水平気味にゆっくり切っていき、、、切り終えました。
欠けることなくカットできました。
この切り方で何が違うのかというと、、、
(↓)普通に切った場合、終端でアクリル板の断面積が小さくなったところで動いてしまい割れやすいです。結果、角が欠けます。
(↓)水平気味に切ることで、終端での断面積が大きくなり安定します。これにより、最後のギリギリまで割れることなくノコギリを動かすことができます。
改訂した点
欠けを防ぐ方法について、改訂前は「切り終わりに裏側から切れ込みを入れておく」「アクリル板を左右からしっかり固定する」という内容でした。
改訂後は「切り終わりは水平気味に切る」のみで簡潔になりました。
切断面のヤスリ掛け
上記手順で切ると切断面のノコギリ跡はあまり気になりませんが、ヤスリ掛けをすると完成度が上がります。
ヤスリ掛けには耐水ペーパーを使います。水をつけて研ぐとヤスリが目詰まりしにくくなり、研ぎ面が長持ちするなどの利点があります。
耐水ペーパー#400、#1000、#2000 をカッターで切り、木工ボンドで角材に貼り付けました。
板材を下のように敷いて、切断面にヤスリがまっすぐ当たるようにします。
まずは #400 で、水をつけて研いでいきます。
ノコギリ跡の斜め線が消えたところで、大きい番手に替えていきます。
→ヤスリ掛けについては別記事で詳しく触れています。
おわりに
アクリル板3mm厚をノコギリでカットする方法の紹介でした。
切断面の平面精度が出ると「ヤスリ掛けの労力が減る」「思いどおりの寸法にしやすい」などの利点があります。
端材を定規代わりにして切る方法は木材のカットでも有効です。慣れると簡単なのでおすすめです。
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